元F1ドライバーで3度のグランプリ優勝経験を持つジョニー・ハーバートは、アストンマーティンF1のオーナーであるローレンス・ストロールにとって、チームのために困難だが必要な判断を下すべきときが目前に迫っているようだと語った。
ハーバートは、精彩を欠くパフォーマンスが続くランス・ストロールを見て、F1における彼の将来に疑問符が付いたと考えている。過去には優れた能力の片鱗を見せたこともある23歳のストロールだが、父親が所有するチームに移ってからの成績に、特筆すべきものは見当たらない。
2021年のドライバーズランキングで、若きストロールはチームメイトのセバスチャン・ベッテルよりも下位に終わった。そして今年はこれまでに3ポイントしか獲得しておらず、10位よりも上の入賞はない。一方のベッテルは、現時点で13ポイントを挙げている。
カナダでは、ストロールはチームの新世代マシンに確信を持てず、それがパフォーマンスにも影響していると語った。
「僕たちはいつも学び続けている。とはいえ、僕としては自分がマシンに乗って、もっといい、安心できる状態になりたいと思うんだ」とストロールは語った。
「いまだにマシンに乗っていてあまり確信が持てないし、すごく正確に、挙動を把握できているわけでもない。マシンのことを把握し、安心できていた昨年や一昨年のような状態に戻れるよう、僕は努力を続けなければと思っている」
「今はちょっと難しいときだ。課題を解決するために、エンジニアと一緒に努力しなければ」
しかしハーバートは、チームに多くのポイントをもたらすような成果を挙げられていないストロールに、今後まだ伸びる余地がまだあるのかどうかは疑わしいという。
「ランスは最近少し苦しい時期を過ごしている」と、『Sky F1』で解説者を務めているハーバートは、ポッドキャストの『F1 Nation』で語った。
「私はときどき思うが、仮に(F1で)やっていけないのならば、ローレンスが息子に伝えなければいけない時が来るはずだ。『私はチャンスを与えたが、あまりうまくいっていないようだ。したがって、私はチームにとって正しいことをしなくてはならない』とね」
「そういう瞬間が来ると思う。具体的にいつかは分からないけれど、すべてはランスが必要な仕事を行えるかどうか、そして着実に続けられるかどうかにかかっている」
「今のところはちぐはぐな印象だよ」
ハーバートはさらに、後任としてはピエール・ガスリー(現アルファタウリ)がアストンマーティンにうまく合うだろうとも語った。
「彼は、レッドブルを離れたダニエル(・リカルド/現マクラーレン)のように行動すべきだ」と、ハーバートは語った。
「今すぐにでもチームを訪ねるべきだと思う。向こうが正確に何を求めているのかを尋ねたうえでこう言うんだ。『もう準備はできているし、チームに参加する意志もある』とね」