4シリーズ・グランクーペのラインナップにBEVのi4が追加された。国内の導入グレードは、「eDrive40」と高性能版「M50」のふたつで、今回はeDrive40を箱根のワインディングロードで試してみた。肝心要の“駆けぬける歓び”はどう表現されているのか?
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抜きに出た開発実績によりEVの特性を最大限に活用
舞台は箱根のワインディングロード、まずは低速コーナーが連続する区間をi4で駆け抜ける。走行モードがコンフォートならステアリングの切れ味はスッキリと軽めであり、コーナリング中は適度なロール感が伝わってくる。
この走りが、とにかく気持ちいい。登り勾配でも圧倒的な静粛性を保ち、乗り心地は快適そのものだ。それでいて、キツめのコーナーへも安心して進入できる。ステアリングを切り込む速さや量と向きの変わりぐあいとロール感が、すべて一致している。そのため、操作に対しクルマが正確に反応してくれている実感が得やすい。
この感覚、エンジン車には望みにくい。試乗車は、eDrive40のMスポーツだ。サスペンションは、Mスポーツであっても引き締めているわけではなくスタンダードと同じ設定だ。そもそも、引き締める必要がない。バッテリーを床下に搭載するので、重心高は3シリーズよりも53mmも低くなっている。その分だけ基本性能が高くなり、ボディのムダな動きが抑えられるからだ。
だが、エンジン車よりも車重が増しているのでその対応は必要となる。ただ、BMWは他メーカーと比べればEV開発の実績では抜きん出ている。低重心化というメリットと車重増加というデメリットの折り合いをつけ、サスペンションの設定で優位に立っている。
終始スムーズな走りで意のままに操れる
中高速コーナーが連続する区間に移っても、印象は変わらずだ。走行モードがスポーツならステアリングの手応えは少しだけ重めになるが、切れ味はスッキリしたままでスムーズさが際立つ。高速コーナーを駆けぬける際に路面のうねりを通過しても、ボディはムダに動かずフラットな姿勢を維持。フロアにバッテリーを構造的に統合したことでボディのねじり剛性が高くなり、前後の接地バランスも最適化されているためだ。
しかも、剛性が高くなったことでロードノイズの遮音性が向上している。さすがに、舗装の骨材が見えるようなザラついた路面を通過するとゴーッというノイズが聞こえる。だが、響かず音量が抑制されているので耳障りではない。
最高出力が340ps、最大トルクは430Nmを発揮するモーターは、リアアクスルの後方に搭載される。走行モードがスポーツなら、アクセル操作に対する力強さの立ち上がりがシャープになる。だが、強大なトルクが飛び出してくるような唐突感とは無縁だ。
にもかかわらず、刺激的な速さが実感できる。同時に文字では表現が難しいがクゥイーンという感じの電子音が重なるだけに、加速の伸びやかさが実感しやすい。このあたりのモーター制御でも、EV開発の実績がモノをいう。
走行モードをコンフォートにすると、アクセル操作に対して超スムーズに力強さが立ち上がる。電子音の演出もないので刺激不足と思われかねないが、市街地であれば周囲の流れを置き去りにできるくらいの加速がこなせる。加速だけではなく、セレクターをBレンジにして回生を強めに効かせても減速はスムーズだ。
なお、フル充電での走行距離はWLTCモードで604kmと十分だ。もちろん、国内の急速充電に対応し、最近増えてきた90kW仕様なら約40分で0〜80%。BMWウォール・ボックスによる200V/32Aの普通充電なら、15時間で0〜100%に達する。
【Specification】BMW i4 eDrive40 Mスポーツ
■車両本体価格(税込)=¥7,910,000
■全長×全幅×全高=4785×1850×1455mm
■ホイールベース=2855mm
■トレッド(前/後)=1590/1605mm
■車両重量=2080kg
■フロントモーター種類=交流同期電動機
■最高出力=340ps(250kW)/8000rpm
■最大トルク=430Nm(43.8kg-m)/0-5000rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■定格出力=105 kW
■一充電走行距離(WLTCモード)=604km
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ(前/後)=Vディスク/Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前 245/45R18(8.5J)、後 255/45R18(9J)
■問い合わせ先=BMWジャパン70120-269-437
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