インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで開催されたNTTインディカー・シリーズ第13戦。30日に決勝レースが行われ、2番手からスタートしたアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が3年ぶりの勝利を飾った。
佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング)は一時は上位を走行するも15位に終わっている。
今週末はインディカーとNASCARの共催。インディカーのギャラガーGPは土曜日にレースが行われた。勝ったのはアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)。予選2位から、2019年6月のロードアメリカ以来となるキャリア8勝目が記録された。
2016年のデビューで3シーズン目にはランキング3位となり、未来のチャンピオンと目されたロッシだったが、2019年半ばから勝てなくなった。チーム内でコルトン・ハータが台頭。ロッシは迷走しているかに見えていた。49レース、1133日間に渡って彼は勝利から遠ざかっていたのだ。
ロッシはインディのオーバルとロードコースの両方で優勝する史上4人目のドライバーとなった。今日の勝利は彼の今シーズン最初のもの。キャリアでは8勝目。
「救われた。それ以外に今の自分を表す言葉はない。勝てない時期が長かったことでチームオーナーのマイケル・アンドレッティも大変だったと思う。しかし、彼らは私の力を信じ続けてくれた」
「そうして今日、私たちはインディアナポリスで勝つことができた。それは大変嬉しいことだ。このコースは本当に自分にとって特別な存在だからだ。インディのオーバルで勝った方が喜びは断然大きいだろうが、この歴史あるコースで勝つことに大きな価値があり、長いこと勝てなかった自分がまた勝利を挙げる場所としては最高だった」とロッシは語った。
アンドレッティ・オートスポートは5月に今日と同じインディのロードコースで行われたレースをハータによって制しており、これがチームとしての今シーズン2勝目。ホンダにとってはシーズン4勝目だ。
ルーキーのクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が3.5441秒差の2位でゴール。ホンダの1-2フィニッシュは3回目。そして、5月のロードレース、インディアナポリス500、今回のロードレースと、インディアナポリスモータースピードウェイで今年開催される3レースのスウィープを達成した。
5月のレースは75周で、7月のレースはそれより10周多い85周。今日のロッシは予選2番手からスタートでその座を守り、すぐにハータにパスされたが、PPスタートのフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)を抜いてチームメイトの背後の2番手に浮上。
レース半ばの42周目、ハータがトランスミッションのトラブルでリタイアしたことでトップに躍り出た。そして、この後は1位を守り通した。
「コルトン(・ハータ)の悔しさが自分にはよくわかる。今日の彼はとても速かった。自分と彼とでマシンのセッティングがほとんど変わらなかったから、あのまま戦い続けていたら最後はどうなっていただろうか……」
「彼は9番手スタートから瞬く間にトップまで上り詰めた。その走りは実に見事だった。何台もパスしてきた。信じられないことだった」とロッシ。
ハータはインディアナポリス・ロードコースでの2連勝に向けて突っ走っているように見えていた。しかし、彼はトラブルによりストップ。
「今日はカーナンバー27の日だった、ということ。とても嬉しい!」とロッシは喜んだ。
2位はルーキーとして今年初めて表彰台に上ることとなったルンガー。
「昨年ここで自分はデビューし、予選4番手になった。その時とまったく同じセッティングで今日は走った。このコースが自分には合っている。それは結果が示している通りだ」
「レース終盤にロッシに一気に近づいていったときがあり、優勝のチャンスかと思った。しかし、そうはならなかった。アンドレッティ・オートスポートのマシンは僕らよりタイヤが路面に食いついており、エンジンパワーが伝わってトラクションが得られていた」とルンガーはコメントした。
3位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。スタート直後に16番手まで下がったが、最初のイエローでピットインする作戦が大成功で、3位までばん回してのゴールを実現。ポイントリーダーとなった。
残るは4戦のみ。インディ500優勝のマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は今日は最後尾からのスタートで、奮闘はしたがゴールは11位。パワーと9点差の2番手にランキングをひとつ下げた。
「今日の僕らは素晴らしいリカバリーを達成した。予選は4番手だったが、スタート直後に16番手まで下がった。乱暴なドライビングをしたドライバーたちがいたからだ。そこから3位まで順位を上げてゴールできたんだから文句などない」
「安定性を追求している今シーズン、その通りの戦い方ができていることで、またポイントトップに立つことができた。チャンピオンになる。僕たちにはそれを叶えるだけのポテンシャルが備わっていると感じている」とパワーは2度目のタイトルに対する意欲を見せた。
ポイント3番手のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は5位でゴール。アイオワのレース2でのアクシデントで脳震盪を起こした彼はギャラガーGPに出場できない可能性もあり、その場合に備えてサンティーノ・フェルッチとリザーブドライバー契約を結んでいた。
そんな状態でのレース出場には少し無理があったのか、彼はチームメイトのスコット・マクラフランをパスできなかった。彼を抜いていたら4位。それより3ポイント少ない5位でのゴールとなった。
佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は18番手スタートから15位でフィニッシュ。最初のイエローでピットに飛び込む“アンダーカット”で大幅ポジションアップ。
1回目のピットストップを全員を終えた時点では6番手を走っていたが、燃費セーブを実現しつつスピードも保つのは至難の業で、ジリジリとポジションダウン。苦しい戦いを続けてのゴールとなった。
「結果は15位。あの作戦は採用するべきではなかったかもしれません。しかし、自分たちはチャレンジをしないわけにいかない状況にあった。それもまた事実でした」
「最初のピットストップはタイミングが早過ぎました。これがレースを通じて重荷になることは、あの時点で予測ができました。僕らとしてはイエローがあと何回か出ることを期待したんです」
「しかし、その思いどおりにはなりませんでした。もっと良い成績を手にできなかったことは大変残念です。しかし、僕たちはチャレンジをしたんです。攻めの戦いを行い続けることが大切と考えています。来週のナッシュビルでいい結果を残せることを期待しています」と琢磨はコメントした。
2022年のNTTインディカー・シリーズも残すは4戦。連戦は続き次週は昨年カレンダーに加わったナッシュビルで開催される。