【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第10回前編】グリッド降格ペナルティで痛手を負うも、速さを証明し士気を高めたケビン

 2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。第12戦フランスGPは例年よりも1カ月ほど開催時期が遅くなったこともあり、非常に高い気温と路面温度に苦しめられた。またケビン・マグヌッセンがパワーユニットのエレメントを交換したため、レースは後方からのスタートが決まっていた。そんななかで予選ではあえてQ3まで進む速さを見せ、チームの士気を高めることもできたという。

 コラム第10回は、前編・後編の2本立てでお届け。前編となる今回は、フランスGPの現場の事情を小松エンジニアが振り返ります。

【全ドライバー独自採点/F1第12戦】“ドライバー・オブ・ザ・ウイーク”のサインツ。ミスなく速さを発揮した角田裕毅

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はフランスGPでの戦いぶりを振り返る。

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■評価 10/10:芸術的なオーバーテイクを見せたサインツと、チームメイトより圧倒的に速かったハミルトン

 この週末のカルロス・サインツ(フェラーリ)は、ドライバー・オブ・ザ・デーにふさわしいドライバーであり、“ドライバー・オブ・ザ・ウイークエンド”と呼ぶべきパフォーマンスを見せた。常にシャルル・ルクレールよりも速く、ユーズドタイヤでのQ2タイムは、タイヤのデグラデーションを考慮すれば、この週末のベストラップといっていい。

F1技術解説:第12戦(1)フェラーリのルクレールはなぜミスを犯したのか

 2022年F1第12戦フランスGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。今回は、フェラーリとライバルであるレッドブルのアップデートをチェックしつつ、フェラーリのシャルル・ルクレールがトップ走行中になぜミスを犯したのかを分析する。

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 シャルル・ルクレールが、またもリタイアを喫した。スペイン、アゼルバイジャンと同様、もし完走できていたら、はたして勝てていただろうか。バルセロナとバクーではエンジンに裏切られたルクレールだったが、今回は自らのミスがリタイアを引き起こした。

クラッシュのルクレールを批判から守るフェラーリF1代表「タイトル争いは終わっていない。残りを全勝する気持ちで戦う」

 フェラーリF1チーム代表のマッティア・ビノットは、フランスGP決勝の2時間後にひとりで報道陣に向き合った。フェラーリは通常、レース結果にかかわらず、レース後の会見にドライバーも同席させるので、これは珍しいことだった。今回、ビノットには伝えたい強いメッセージがあり、また、シャルル・ルクレールやカルロス・サインツが質問攻めにされる事態を避けたいという思いもあったのだろう。

【SNS特集】F1フランスGP:31年前のフランス人跳ね馬コンビ。ルクレールの悲痛な「NOOOOOOO!!」

 ようやくマシンのアップグレードを持ち込み、今シーズン3度目の予選Q3進出を果たしたアルファタウリF1の角田裕毅だったが、オープニングラップでアルピーヌF1のエステバン・オコンに追突され最後尾まで後退。2連勝に向けトップ快走中だったフェラーリF1シャルル・ルクレールは自らのミスでコースオフ、レースを失った……。南仏ル・キャステレの週末をドライバーや関係者のSNSで振り返る。

レッドブルF1代表、両選手権での大量リードに驚喜「予想もしないこと。今季マシン開発へのシフトは我々が一番遅かった」

 レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、チームが今年ここまでに収めている好結果は予想をはるかに上回るものであると語った。F1技術レギュレーションが大きく変更される2022年を前に、昨年、レッドブルとメルセデスとのタイトル争いが最終戦まで続いたため、レッドブルは今季型マシンへの開発に完全にシフトするのが遅れた。それにもかかわらず、現在、ドライバーズ選手権、コンストラクターズ選手権を、大差でリードしているのだ。

バトル中の急ブレーキに「不意討ちを食らった」とベッテル。ストロールはスナップしたと説明/F1第12戦

 アストンマーティンF1のセバスチャン・ベッテルは、2022年F1第12戦フランスGP決勝の最終コーナーで、チームメイトのランス・ストロールが突然行ったブレーキ操作に「不意討ちをくらった」が、「どちらにしてもチームにとってポイントは同じ」と語り、チームメイトの気まぐれな行為を受け流した。

 ストロールは、予選でベッテルよりもポジションが3つ後ろの17番手だったが(他車のペナルティによりスタートは15番グリッドから)、決勝のオープニングラップで一気に10番手へと順位を上げ、51周のレースの残りでそのポジションを維持し続けた。

ラッセル、ペレスとのバトル中に無線で声をかけた代表に感謝「みんな感情が高ぶっていたと思う」/F1第12戦

 メルセデスのジョージ・ラッセルは、F1第12戦フランスGPでセルジオ・ペレス(レッドブル)とのバトルが熾烈を極めるなか、チーム代表のトト・ウォルフの声を無線で聞けたことに感謝していると述べている。

 レースの最後の10周で、ラッセルはペレスに狙いをつけたが、なかなか追い抜くことができなかった。ラッセルがミストラル・シケインでペレスのイン側を走行したせいで、ふたりは軽く接触し、ペレスはそのまままっすぐ進まざるを得なかった。ラッセルは、コーナーのスペースは自分のもので、ペレスはポジションを譲るべきだったと無線で主張した。しかしメルセデスはこれに同意せず、それはスチュワードも同様だった。スチュワードはこの動きを調査したが、結局何の措置も取ることはなかった。