7月8日、イタリアのモンツァ・サーキットで行われたWEC世界耐久選手権第4戦のフリープラクティス1で、トヨタGAZOO Racing(TGR)の2台のGR010ハイブリッドは総合4番手と5番手タイムをマークし、初日の走行を終えた。
このモンツァでは、プジョー9X8が新規参戦を開始。新たなライバルを迎えたTGRは、前戦ル・マン24時間で優勝を果たした8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)がトップのグリッケンハウスから1秒136遅れで総合4番手。昨年の世界選手権王者であるマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスの7号車が、8号車から0秒167差の5番手につけた。
金曜日唯一のセッションとなったフリープラクティス1、7号車GR0100ハイブリッドは、モンツァのロングストレートで317.6km/hという全体の最速スピードを記録したが、1周5.793kmのコースを攻略するには最高速だけでなくバランスが必要であり、コーナーでの速度、ふたつの低速シケインにおけるハードブレーキングでの走行安定性も重要だ。
そのため、このセッションではメカニカル、および空力要素の比較を行い、また、特徴的なモンツァを攻略するための最適なセットアップを見出すプログラムをこなした。
初日はドライバー全員が等しく走行し、7号車は最後に可夢偉が最速タイムを記録。8号車では、ブエミが最初の15分で記録したタイムがこの日の最速タイムとなった。
9日(土)は2回の公式練習セッションの後に決勝のスターティンググリッドを決定する10分間の予選が行われる。38台が争う6時間の決勝レースは10日(日)の現地時間正午(日本時間午後7時)にスタートする予定だ。
TGRから初日のセッションに挑んだ、6名のドライバーのコメントは以下のとおり。
■小林可夢偉「週末はエキサイティングなものになると期待」
●小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
「我々7号車にとってはとてもスムーズなセッションで、多くのことを学ぶことができました」
「いつもと同じように、初日の公式練習1回目の走行だけで状況を判断するのは難しいです。すごく順調なスタートが切れた、というわけではなかったですが、決勝レースに向けて強いクルマにするべく準備を進めますし、調整を続けながら決勝へ向けてどう変わっていくか確認していきます」
「この週末はエキサイティングなものになると期待しています」
●マイク・コンウェイ(7号車)
「レースに向けてサーキットへ帰ってくるのはいつも良い気分だし、それがモンツァであればなおさらだ」
「今日は多くの周回を重ねたが、ハンドリングの改善など、まだいくつかやるべきことがある」
「この週末は、強力なライバルが加わるのでとても興味深いものになるだろう。決勝レースを良い状況で戦うべく、更なるパフォーマンス向上を目指す」
●ホセ・マリア・ロペス(7号車)
「“スピードの殿堂”モンツァでまた走れるのは嬉しい。このコースは、昨年の優勝を含め良い思い出が数多くあるし、レースで走るのはいつも楽しい」
「今日はたった1回の練習走行を終えただけなので、語るべきことはあまりないが、まずは車両のバランス向上に集中する。明日はとても重要な2回の練習走行があるので、より良くするために頑張る」
●セバスチャン・ブエミ(8号車)
「プジョーがライバルとして初めて我々と同じコースで走り、とても素晴らしく思う」
「今日は、他のどの車両よりも多い48周を走破し、明日へ向け分析すべき多くのデータを収集できた。現時点ではグリッケンハウスに遅れをとっているが、今日のデータを元に修正し、パフォーマンスを上げていく」
●ブレンドン・ハートレー(8号車)
「モンツァに戻ってこられて嬉しいし、それ以上に新たなハイパーカーのライバルを同じコース上で迎えられたことを嬉しく思う」
「今日はとても順調だったが、ペース的には少し不足を感じている。7号車のデータと比較しながらいくつか異なるセットアップを試したが、まだまだデータ分析が必要だ」
「まだ1回目の練習走行が終わったばかりで、これからさらに多く走らなくてはならないし、やるべきことも残っている」
●平川亮(8号車)
「私自身としてはとてもポジティブな一日で、満足しています。長いスティントを走りましたが、周回を重ねるごとに良いリズムに乗ることができ、7号車と比べても遜色ないタイムをマークすることができました」
「とは言え、ハイパーカークラスのライバルとの差はあるので、それを詰めるべく、集中してセットアップ作業を進めなくてはなりません」