7月2~3日、イタリアのミサノ・サーキットでファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第6戦が行われ、チームWRTの32号車アウディR8 LMSエボII(シャルル・ウィーツ/ドリス・ファントール組)が土曜のレース1と日曜のレース2の両方でポール・トゥ・ウインを飾った。
前戦ザントフォールトに続くスプリントカップの第4ラウンドは、ここミサノを得意とする現チャンピオンコンビの独壇場となった。ウィーツがスタートスティント、ファントールが後半スティントを担当した同ペアは、オープニングラップのアクシデントでセーフティカー(SC)が入った週末最初のレースで無類の強さを発揮。リスタート後は後続を寄せ付けず同地4連勝を果たした。
彼らと0.5ポイント差という僅差で今戦に臨んだ89号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASP)のラファエル・マルチェッロ/ティムール・ボグスラフスキ組は、予選3番手を得て決勝レース1での逆転を狙うが、ピットストップで112号車マクラーレン720S GT3(JPモータースポーツ)を交わすのがやっと。マルチェッロをしてもアウディ・ワークスドライバーを射程に捉えることができなかった。
チャンピオンシップを争う2台に続いたのは、チームWRTの30号車アウディR8 LMSエボII。シルバーカップエントリーのトマ・ノイバウアー/ベンジャミン・ゲーテ組が総合3位でクラス優勝を飾った。プロ・アマカップはガレージ59の188号車マクラーレン720S GT3が制している。
■バレンティーノ・ロッシが88号車メルセデスの挑戦を退ける
続く日曜のレース2は、32号車を先頭にトレソル・バイ・カーコレクションの11号車、チームWRTの33号車と3台のアウディR8 LMSエボIIがスターティンググリッドのトップ3を独占し、89号車メルセデスが4番手からのスタートとなった。
ふたたびオープニングラップでSCが入ったレースは、リスタート後にファントール駆る32号車が逃げの体勢に入り、その後ろで11号車のクリストファー・ハーゼと33号車クリストファー・ミースの“クリス対決”が繰り広げられる展開に。89号車をドライブするマルチェッロはこれに付き合わされることになり、ピットウインドウ・オープンまでにトップから約7秒の後れをとった。
ピットストップもスムーズに終え盤石な姿勢の32号車だったが、フィニッシュまで残り9分となったところで5番手を走る12号車アウディR8 LMSエボII(トレソル・バイ・カーコレクション)がクラッシュ。2度目のSCランとなり、ピットで順位をふたつ上げた89号車に対し10秒以上稼いでいたマージンが帳消しとなる。
しかし、リスタート時にプロ・アマカーが1台挟まった恩恵もあり32号車のステアリングを握るウィーツは、ラスト1周の“超スプリント”でも危なげない走りでトップを守り、最大のライバルを2秒引き離してトップチェッカーを受けた。
総合3位表彰台は33号車との同門対決を制した11号車アウディが獲得し、その後方で88号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASP)との5番手争いに辛くも勝利したバレンティーノ・ロッシ駆る46号車アウディR8 LMSエボII(ロッシ/フレデリック・バービシュ組)が、スプリントカップでのベストリザルトとなる総合5位でフィニッシュしている。両車のギャップは0.455秒だった。
シルバーカップは総合8位でフィニッシュしたAFコルセの53号車フェラーリ488 GT3エボがクラスウイナーに。プロ・アマは188号車マクラーレンがレース1に続き連勝を飾っている。
欧州GT3シリーズの次戦第7戦はトタルエナジーズ・スパ24時間。ベルギーのスパ・フランコルシャンを舞台に7月28日から31日にかけて行われる同レースは、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパとIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ、両シリーズの“シーズンハイライト”となるイベントだ。