7月6日、フェラーリは2023年にデビューが予定されている新型ル・マン・ハイパーカー(LMH)のシェイクダウンを、イタリア・フィオラノのテストトラックで完了した。ファクトリードライバーのアレッサンドロ・ピエール・グイディはこの体験を「とてもポジティブだった」と振り返った。
この日の朝から行われたシェイクダウンでは、ピエール・グイディが最初にハイブリッド搭載の4輪駆動LMH車両のステアリング握り、午後にはニクラス・ニールセンがその役目を引き継いだ。シェイクダウンはフェラーリCEOのベネデット・ヴィーニャの立ち会いのもと行われたという。
「何カ月もシミュレーターの中で過ごしてきたが、ついに実車に乗ることができ、とても感激している」と、最初にマシンをドライブしたピエール・グイディ。
「最後の公式参戦から50年、耐久レースの頂点に返り咲くフェラーリをドライブできたことは、僕にとってとてもエモーショナルなものだった」
「まだスタート地点に立ったばかりで、これからやるべきことはたくさんある。だが、とてもポジティブなフィーリングだ」
「フェラーリの新たな冒険の始まりとなるLMHをデビューさせることができたことを誇りに思うし、ハッピーだ」
シェイクダウンではパワートレーンと電気システムのチェックが行われ、エンジニアが分析を行うための長時間のブレイクを挟んで、走行が行われた。
フェラーリはLMHの開発プロセスにおいて、ファクトリーGTドライバー陣を活用している。シミュレーターでのテストに加え、最近ではバレルンガでLMP2車両のオレカ07・ギブソンを用いたテストも行っていた。
2023年のWECへは2台体制で参戦を予定しているが、そのレースドライバーについてはまだ発表はない。
現在WECのLMP2クラスに、将来のハイパーカー・ファクトリー・レースチームとなるAFコルセからエントリーしているデンマーク籍のニールセンは、この日のロールアウトを「特別な日」と表現している。
「フェラーリのハイパーカーを初めてサーキットで走らせるドライバーのひとりとなれたのは、夢のようなことだ」と25歳のニールセン。
「小さい頃からフェラーリに乗るのが夢で、それをトップクラスで戦うクルマで実現できるなんて、信じられない」
「もちろん、このクルマのレースデビューまではまだまだ長い道のりがあるが、今日僕らはその瞬間に向けて小さな一歩を踏み出したんだ」