もっと詳しく

少ないメリットに多くのお金 – コンバーチブルは概して苦労する。しかしそのかわりに快適な時間を提供してくれる。BMW 420iコンバーチブル、マツダMX-5ロードスター、VW T-Rocコンバーチブルをテスト&レポート!

残念なことに、トップレスの自動車が斜陽になって久しい。ローリング式サンベッドのような自動車は製造コストが高く、利益はむしろ少ない。だから、最近はスポーツカーや高級セダンが主に作られている。

まだ、夏の爽やかなライドを楽しみたい気分だろうか?大丈夫、まだ手頃なオープンエアモデルがある。そして、空気を求める気持ちが、長い納期への不満で終わらないように、比較的に平均的な納期も明らかにしている。だから、トップレスの楽しみのために屋根を開けよう。

BMW 420iコンバーチブル: 大きなキドニーグリル、その背後にはたくさんのもの

このエレガントなコンバーチブルは、トップレスセグメントにおいてバイエルンを偉大な存在にした、すべての価値を兼ね備えている。

本当のBMWとはどんな車かと自問したとき、開発者は「4シリーズ コンバーチブル」に多くの良い答えを見いだしたのだ。長く伸び伸びと立っていて、エレガントでフィット感のあるファブリックルーフが、高級感を際立たせている。ただ、正面のメガサイズのキドニーグリルだけは、今でも一部の人の反感を買っている。

BMW 420iの巨大なダブルキドニーを支えるのは、お行儀の良い2.0リッター4気筒エンジンだ。

室内には、残念ながら新型では徐々に廃止されつつあるiDriveコントローラーを搭載した、すっきりとした仕上げのドライバー向けワークステーションが設置されている。縦置きのエンジンからリアアクスルへは、定評のあるZF製8速トルクコンバーター式オートマチックでパワーを伝達する。これ以上のものはまずない。

「420」で4気筒だけが奮闘しているのは、今の時代と排ガス規制への賛辞である。少なくとも2リッターエンジンはスムーズに静かに走り、よく反応する。6気筒のファンは、高価ではあるが、「M440i」と「430d」でよりスムーズな走行が可能だ。

悩ましいのは、「4シリーズ」の止まらない新車の肥満である。安全システム、快適装備、省燃費技術などを加えると、少なくとも1,765キログラムになる。走りのいいBMWにとって、それはとても重いことなのだ。

そして、これは価格にももちろん適用される。「4シリーズ コンバーチブル」は56,700ユーロ(約835万円)からだ。BMWは決して安くはない。

車両データ&価格: BMW 420iコンバーチブル
• エンジン: 4気筒ターボ、フロント縦置き
• 排気量: 1998cc
• 最高出力: 184PS@5000rpm
• 最大トルク: 300Nm@1350rpm
• 駆動方式: 後輪駆動、8速オートマチック
• 全長/全幅/全高: 4768/1852/1384mm
• 乾燥重量: 1,765kg
• トランク容量: 300~385リットル
• 0-100km/h加速: 8.2秒
• 最高速度: 236km/h
• 平均燃費: 14.9km/ℓ
• 価格: 56,700ユーロ(約793万円)より
• 納期: 6~7ヶ月
• 中古車価格: 43,000ユーロ(約602万円)より

マツダ ロードスター: 純粋に運転する楽しさ

33年間にわたり、マツダの2シーターは、本当のドライビングプレジャーとは何かを私たちに教えてくれている。ほとんど贅沢を言わずに。

低い落差の後に、大きく笑う。アスファルトに近い「マツダ ロードスター」の着座位置は、乗降することに俊敏さが要求される。しかし、そのスポーティな行為は、あらゆるコーナーで報われるのだ。リアアクスルのすぐ前に置かれたドライバーは、長く湾曲したボンネット越しにあらゆるカーブを正確に狙い、ステアリングコマンドが非常にダイレクトに実行されることを体感できる。

1989年から続くMX-5。4代目は2015年から発売されているが、まだまだ新鮮な印象だ。

後輪駆動のおかげで、駆動の影響やくせがほとんどない。短いノブを持つ歯切れの良い6速ボックスは、文字通りギアを吸い込み、自然吸気の2リッタースカイアクティブエンジンは、静かでリニアに回転を上げ、184馬力の張りのあるパワーで小さなロードスターを力強くコーナリングさせる。

エンジンはといえば、132馬力の1.5リッターもいい仕事をしてくれるが、一度さらに大きな2リッターエンジンに乗れば、その弟分のことはもう知りたくなくなる。

それだけ純粋主義には譲歩が必要なのだ。「MX-5」は小さくて硬い。高速道路では、音も大きく、神経質になる。なぜなら、GTマシンではない、単純に操縦が楽しい機械でありたいと思うからだ。それに耐えられないなら、他を探すしかない。それ以外の人は、このオープントップで純粋なドライビングプレジャーを体験することができる。

車両データ&価格: マツダMX-5スカイアクティブ-G 2.0
• エンジン: 4気筒、フロント縦置き
• 排気量: 1998cc
• 最高出力: 184PS@7000rpm
• 最大トルク: 205Nm@4000rpm
• 駆動方式: 後輪駆動、6速マニュアルギアボックス
• 全長/全幅/全高: 3915/1735/1230mm
• 乾燥重量: 1,025kg
• トランク容量: 130リットル
• 0-100km/h加速: 6.5秒
• 最高速度: 219km/h
• 平均燃費: 14.4km/ℓ
• 価格: 35,690ユーロ(約499万円)より
• 納期: 4~5ヶ月
• 中古車価格: 27,000ユーロ(約378万円)より

VW T-Roc Cabrio: アースバスケットの高位継承者

伝統あるオープンカーメーカーVWでは、よりによってSUVだけが、フォルクスワーゲングループのオープントップモデルとなってしまった。1980年代は、まだ物事が単純だった。一番売れた車は「ゴルフ」、一番人気のあるオープンカーも「ゴルフ」で、ロールバーの形状からイチゴのバスケットというニックネームがついていた。

今、世の中はSUVが叫ばれているので、オープンなVWは「T-Roc」しかないのだ。先代のロールバーはもちろん現在では省かれているが、「T-Roc」は少し不格好な印象を受ける。

オープンタイプのT-Rocには、「Style」と「R-Line」が用意されている。それぞれに、1リッターエンジン(110馬力)、1.5リッターエンジン(150馬力)を搭載。

その理由は、窓枠の高さにある。それはインテリアにも顕著で、まるでつま先立ちで壁の向こうを覗き込む子供のような感覚に陥るようなイメージとなる。そのことについて居心地の良さを感じる人もいれば、壁を感じる人もいて、それは好みの問題だ。

一方、エントランスは気持ちよく高い位置にあり、視界も比較的良好だ。後席は大人2人に十分な広さがあり、前回のモデルチェンジから出来栄えもかなり向上している。たとえプラスチックの品質がかなりシンプルでもだ。「T-Rocコンバーチブル」は、誰もが、すぐに使い方を見つけることができる。

快適なシート、素性の良いサスペンション、柔軟なガソリンエンジン、そして謎めいたところのない操作系。そして結局、「T-Roc」はトランクリッドが小さいという一点がマイナスとなる。

車両データ&価格: VW T-Rocコンバーチブル1.5 TSI
• エンジン: 4気筒ターボ、フロント横置き
• 排気量: 1498cc
• 最高出力: 150PS@5000rpm
• 最大トルク: 250Nm@1500rpm
• 駆動方式: 前輪駆動、6速マニュアルトランスミッション
• 全長/全幅/全高: 4271/1811/1527mm
• 乾燥重量: 1,539kg
• トランク容量: 284リットル
• 0-100km/h加速: 9.4秒
• 最高速度: 205km/h
• 平均燃費: 15.8km/ℓ
• 価格: 35,865ユーロ(約502万円)より
• 納期: 5ヶ月
• 中古車価格: 28,000ユーロ(約392万円)より

【ABJのコメント】
オープンモデルってのは、ずるいと思う。屋根のないオープンカーで走れば、それは楽しくて当たり前だからで、自動車好きでオープンカーに乗るのがどうしてもイヤだという人は少ないのではないだろうか。まあ実際に乗ってみれば暑く、寒く、髪の毛ぼさぼさで日焼けするような乗り物ではあるけれど、そもそもは剛性とか実用性に目をつぶってでも乗る粋な自動車、それがオープンカーなのだと思う。

そんなオープンカーにも種類があり、軽くて運動性を追求したもの(スーパーセブンとかロータス エランですね)、豪華でエレガントなもの(ロールスロイス コーニッシュはさしずめ頂点でしょう)が両極端に存在し、だいたいその間にいろいろな車種が入るという構図になっている。今回のテストでいえば、軽いほうは「マツダ ロードスター」、豪華(で高性能)なほうは「BMW 420i」であり、「マツダ ロードスター」が1トンなのに比較すると、「420i」は1,800kgとかなり違う。それほど重さが違えば、性格も違うのは当たり前で、比較してもしょうがないし、どちらを望むかはあなたのライフスタイル次第であることは言うまでもない。

その中間に「フォルクスワーゲンT-Roc」は位置するが、ちょっと「レンジローバー イヴォーク」のオープンモデルにも似たそれは、フォルクスワーゲンらしく実用性のあるオープンモデルというちょっとした矛盾を克服したモデルでもある。昔の「ビートル」や「ゴルフ」のカブリオレほどのしゃれっ気がないのは残念だが、おそらくファミリーカーとしてもギリギリ使えるのではないだろうか。

いずれにしてもオープンモデルを購入できるというのは、環境などにある程度恵まれた人であることは確かだろう。そういう意味では一生のうちに一度でも、オープンモデルを購入できたら幸せとも言えるし、きっと忘れられない思い出になると思う。(KO)

Text: Malte Büttner and Gerald Czajka
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de