7月14日、WRC世界ラリー選手権第7戦『ラリー・エストニア』が開幕した。同日、オープニングステージとしてスーパーSSが1本行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合2番手に、チームメイトのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合3番手、さらにエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合5番手につけた。
また、TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)もトップと0.9秒差の総合7番手に入り、TGR WRTの全車が順調にラリー初日を走りきっている。
競技初日を総合2番手で終えたロバンペラにとって、このラリー・エストニアは昨年、WRC初優勝を飾った思い出のラリーだ。そんな超高速グラベル(未舗装路)イベントに向け、チームは今回トヨタGRヤリス・ラリー1のエンジンをアップグレードし、新しいデザインのリヤウイングを採用。シーズン後半戦に向けて、パフォーマンスのさらなる向上を図っている。
ラッピが最速タイムを記録した午前中のシェイクダウンに続き、今戦のサービスパークが置かれているタルトゥでのセレモニアルスタートを経て開始されたSS1は、全長1.66kmのグラベルステージが戦いの舞台となった。このステージは前年も使われたものだが、2022年大会では進行方向が昨年と逆向きとなっている。
強い西日が差すなかドライコンディションで実施されたSS1は、ごく僅差の争いとなり、同ステージでトップタイムを記録したクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)とロバンペラのタイム差はわずか0.1秒だった。また、ロバンペラと3番手エバンスの差もコンマ1秒しかなく、7番手につけた勝田までが首位から1秒差以内に入る接戦となっている。
「高速グラベルステージを、ラリー1カーで初めて走るこのラリーを、誰もが楽しみにしていたと思う。最初のステージで我々は全車がトップと1秒以内に入り、いいスタートをきった」と語るのは、チーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラ。
「今朝のシェイクダウンでも、すでに期待が持てるタイムが出ていたが、本当の戦いは明日からだし、そこで自分たちの本当の実力が分かるだろう。雨が降った場合、その量とタイミング次第では天候が大きく影響するかもしれない」
「少しの雨ならば路面のグリップは良くなるが、大雨だと非常に難しくなり、路面に轍が刻まれているであろう2回目の走行時に降れば、なおさらだ」
■「路面が濡れても問題ない。むしろ有利になる」とロバンペラ
雨の予報が出ている競技2日目の15日(金)は、タルトゥの北側と南側で、4本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行する予定だ。このうち、デイ2のオープニングであるSS2と、再走ステージのSS6は今大会最長となる全長24.35kmのロングステージとなっている。8本のステージの合計距離は139.18kmで今大会最長に。リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は620.04kmに上る。
競技初日の戦いを終えたTGR WRTドライバーのコメントは以下のとおりだ。
●エルフィン・エバンス
「今晩最初のステージは、距離は短くとも非常にツイスティで、岩も多くあったので正確に走らなければならなかった。今朝のシェイクダウンはうまくいった。雨が降ってきて、そのようなコンディションでテストをするのは初めてだったが、最初からすぐいいフィーリングで走ることができた」
「このようなハイスピードなラリーはいつもエキサイティングだけど、クルマについてはまだ学ぶべきことがある。また、天気も非常に不安定で、ステージがどのような影響を受けるのか分からないんだ」
●カッレ・ロバンペラ
「最初のステージでいいタイムを出してラリーをスタートすることができて、うれしく思っている。このラリーにはエストニアだけでなく、フィンランドからも多くのファンが来ているので、みんなに会えるのもうれしいよ」
「シェイクダウンでは、1回目の走行ですでに良いフィーリングが得られた。このクルマで初めて高速グラベルラリーを戦い、他のクルマと比べてどれくらい速いのかを確認できるのは、とてもエキサイティングだ」
「明日は、雨で少し路面が湿っていたり、濡れていたりしても問題ない。むしろ、そうなった方がステージを出走順トップで走る僕たちにとっては少し有利になる。ただし、かなり予想が難しい天気になりそうだね」
●エサペッカ・ラッピ
「このラリーのスタートは毎回大勢の人が集まり、まるでショーのような素晴らしさだ。最初のステージは低速かつテクニカルで、コーナーの内側と外側に多くの岩があったため注意が必要だった。他のステージとはまったく異なるが、この区間は週末に何度か走るので、うまく攻略する必要があった」
「朝のシェイクダウンではいい感触が得られ、クルマのセッティングをあまり変える必要はなかったよ。天候次第で路面のグリップレベルは何度も変わるだろうし、ラリー中は驚きの連続になると思っている」