WEC世界耐久選手権第4戦モンツァ6時間レースで新型ル・マン・ハイパーカー『9X8』をデビューさせたプジョーは、2023年のWECとル・マン24時間レース参戦に向けたカスタマーチームや、追加資金をもたらすスポンサーを「歓迎する」としている。
現在、2台がWECのハイパーカークラスにファクトリーエントリーしている9X8について、ステランティス・グループのモータースポーツ活動を統括するジャン・マルク・フィノーは、追加の車両を供給することに対して前向きであることを示唆した。
プジョーは来季も、2台のファクトリーカーでフル参戦することを確約している。
さらなる台数を参戦させることを考えているのかと尋ねられたフィノーは、「現在のところはないが、カスタマーが興味を示すのであれば、我々はそれを歓迎する」と答えている。
「我々は、ファクトリープログラムに集中する必要がある。だが、より多くの車両をグリッドにつける機会があるのなら、それはとても嬉しいことだ」
ファクトリーカーに加えて、プジョー9X8に出資する独立した組織(スポンサー)を獲得することに関して、フィノーは「すべては可能だろう」と述べている。
ただしフィノーは、現在のところ潜在的なカスタマーとの2023年向けの交渉は行われていない、と強調する。
プジョーのハイパーカープロジェクトの初期段階では、元LMP1プライベーターのレベリオンが公式パートナーとして名を連ねていたが、その提携はわずか2カ月で終了していた。
LMP1時代、プジョーは908 HDi FAPを製造し、プライベーターチームのオレカとペスカローロ・スポールがル・マンにエントリーした。オレカは2011年、セブリング12時間を制している。
「これはファクトリープログラムなので、我々は自分たちのプログラムに集中している。だからといって、もしカスタマーが興味を持つのなら、我々はそれを検討しないわけにはいかない」とフィノー。
「そのカスタマーに対して必要なサポートが、我々が重視しているファクトリーチームのパフォーマンスを損なわないものであることを、確認しなければならない。だが、議論の余地はある」
「これはスポーツ・ビジネスだからね。興味があるなら、歓迎する」
■船便での輸送より、テストでの開発を優先
プジョー9X8の次のレースは9月のWEC第5戦富士6時間レースだが、それまでの間にもプジョーはサーキットテストを実施する予定だ。
モンツァに出場した2台のレースカーは、プジョーのベルサイユ・サトリーの拠点でチェックされる予定だ。つまりプジョーはトヨタと同様、モンツァ戦直後に日本に向けて出発するWECがオーガナイズする船便にはマシンを載せず、富士戦に向けてはマシンを空輸することになる。
ル・マン・ハイパーカーのマニュファクチャラーが、その参戦初年度に行うテストには、何ら制約はない。
プジョーのWECテクニカル・ディレクターを務めるオリビエ・ジャンソニーは、「富士の前に少なくとも1回、もしくは2回のテストを行うつもりだ」と述べている。
「我々はテストの計画を進めている。通常、我々はレースカーでのテストは行わない。だが今回は、富士向けの船に乗せるためには、レースカーを(モンツァの週末の)6日後や7日後には、手放さなくてはいけない」
「我々にとっては、富士に向けて(テストを行って)レースカーの準備を進めることの方が、ずっと重要なんだ」