WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは6月23~26日、アフリカのケニアで開催される、2022年シーズン第6戦『サファリ・ラリー・ケニア』に3台のトヨタGRヤリス・ラリー1を投入。エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組とドライバー/コドライバー選手権をリードしているカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組、そしてスポット参戦で今季3度目の登場となるセバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス組の3台体制で優勝を目指す。
また、オジエが優勝した前年大会で総合2位となった勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)も、引き続きTOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから参戦し、自身2度目となる表彰台獲得を狙う。
2002年大会以来、19年ぶりにWRCイベントとして開催された昨年のサファリ・ラリー・ケニアでは、オジエと勝田が最終日まで優勝を争い、シリーズ8冠王者が優勝。勝田がキャリア初表彰台となる総合2位を獲得し、トヨタ・ヤリスWRCがワン・ツー・フィニッシュを飾るとともに、トヨタは通算10回目となるサファリ・ラリー優勝を達成した。
そんなTGR WRTは今年デビューした新車『トヨタGRヤリス・ラリー1』で、首都ナイロビから北西に約100km離れたナイバシャ湖畔を中心に展開されるサファリ・ラリーに挑む。チームはここまで5戦3勝でマニュファクチャラー選手権で首位に立っており、ドライバー選手権では第2戦から3連勝を飾ったロバンペラがランキング2位のライバルを55ポイント離している状況だ。
昨年再開されたサファリ・ラリーは、以前のスタイルとは異なり他のWRCイベントと同じフォーマットが採用されたことで特殊性はかなり薄まった。しかし場所によって路面が非常に荒れていたり、突然の大雨で路面が瞬時に泥状になるなど、依然他のラリーと大きく異なるキャラクターを備えているのが特徴だ。
■4日間で19本のスペシャルステージを走行
今季のラリーは22日水曜のシェイクダウンに始まり、23日木曜はナイロビ中心部のケニヤッタ国際会議場で行われるセレモニアルスタートで開幕。直後に4.84kmのスーパーSSが行われ競技がスタートする。
本格的なラリーが始まるのは金曜からで、実質的な初日となる24日は今大会最長となる全長31.25kmの“ケドング(SS4/7)”を含む3つのステージで、計6本のSSが行われる。
翌25日はサービスパークの北側にあるエルメンテイタ湖の周辺で3本のステージを各2回走行する予定となっており、26日の競技最終日はナイバシャ湖の南側に設定された3本のステージを舞台に6SSで争われる。このうちSS15と再走ステージとなるSS18“ナラシャ”は新ステージだ。また、SS16の再走ステージとなる最終SS19“ヘルズゲート2”は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与されるパワーステージとなっている。
2022年のサファリ・ラリー・ケニアのステージ数は全部で19本。競技区間の合計距離は363.44km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1223.77kmだ。
■ラリー1カーにとって大きな試練になる可能性
前年大会の再現とシーズン4勝目を目指すTOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表は、サファリ・ラリー・ケニアを前に次のように語っている。
「昨年、サファリ・ラリーがWRCのカレンダーに復帰して胸が躍った。ラリーの内容的には以前と大きく異なっているが、イベントのスピリットは変わらず、純粋な速さ以上に耐久力が求められるラリーだ」
「(2021年大会は)表彰台に上ることさえ難しいように思えた局面もあったが、最終的には、ワン・ツーフィニッシュを達成することができた。だから、今年もどんなことが起きても対応できるように準備をする必要があるし、ラリー1カーにとっては大きな試練となるかもしれない」
「レッキの段階では良いコンディションに思えても、ラリー本番では非常に厳しい状況になることもある。ステージのすべてが荒れているわけではないが、深い轍(わだち)がたくさんあり、非常に柔らかく砂に覆われた路面も多くあるんだ。それでも、我々の4人のドライバーは昨年の経験を頼りに、どのようなことが起きるか、ある程度予想して戦うことができると考えている」