WRC世界ラリー選手権第6戦ケニアが6月23日に開幕した。同日、オープニングステージとして首都ナイロビ郊外のカサラニでスーパーSSが1本行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がトップタイムをマーク。総合首位に立った。チームメイトのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合4番手、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合11番手でラリー初日を終えている。
また、TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションからラリーに参戦している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手につけた。
19年ぶりにWRCイベントとして“復活”を果たした昨年の大会に続き、ナイバシャ湖近くのサービスパークを中心に開催される『サファリ・ラリー・ケニア』は、プラグイン・ハイブリッドシステムを搭載する新時代のラリー1カーにとって、ヨーロッパ圏外で開催される最初のラリーだ。
そんな今戦は水曜日にシェイクダウンが行われた翌日、23日(木)にサービスパークから約100km離れた首都ナイロビのケニヤッタ国際会議場でセレモニアルスタートが実施され、その後ナイロビ郊外のカサラニに移動し2台同時スタートのスーパーSSが開催された。
全長4.84kmのこのグラベル(未舗装路)ステージで、オジエは2番手タイムをマークしたティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)に0.6秒差をつけるベストタイムを記録。ラリー初日を首位で終え、大会連覇に向けた好スタートを切った。
僚友のエバンスも、オジエと1.2秒差の4番手タイムと順調な出だしに。さらに、シリーズ元9連覇王者のセバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)を挟み、総合6番手となった勝田も、トップとのタイム差は1.9秒と僅差だ。
一方、今季すでに3勝を挙げドライバー選手権を独走しているロバンペラは、スタート直後の左コーナーでコースオフしかけた際にタイヤにダメージを負ってしまう。この影響でタイムを失うも、その差は11.6秒。明日以降、総合11番手からの挽回を目指していくことになる。
「サファリ・ラリーがスタートし、ファンの皆さんにスーパーSSで走りをお見せすることができてうれしく思う」と語るのは、TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラ。
「明日からは、このスーパーSSとはまったく異なるステージなので、それほど大きな意味を持つことではない。カッレ(・ロバンペラ)がタイヤをリムから外し、少しタイムロスしてしまったのは残念だが、明日以降いろいろなことが起こり、タイム差も他のラリーよりひらくことが予想されるため、あまり大きな問題ではないと思っている」
「レッキを終えて、選手たちは昨年よりも厳しいコンディションになりそうだと予想している」
「とくにステージを2回目に走行する際は多くの深い轍(わだち)が刻まれていると思われるので、ドライバーはあまり攻め過ぎないように我慢して走る必要があると思う。シェイクダウンはそういったコンディションでクルマがどう反応するかをテストする良い機会だった。ドライバーたちは週末に向けて自信を深めたと思うよ」
サファリ・ラリー・ケニアの競技2日目、24日(金)のデイ2はナイバシャ湖の周辺で新ステージを含む3本のステージを各2回走行する。SS2からSS7まで6本のSSの合計距離は124.20km、リエゾン(移動区間)を加えた1日の総走行距離は337.64kmとなる予定だ。
ラリー初日のステージを終えたTOYOTA GAZOO Racing WRTドライバーのコメントは以下のとおり。
●セバスチャン・オジエ デイ1総合首位
「ラリーをスタートするためにナイロビを訪れ、多くの人に応援をしてもらい素晴らしい気分だ。最速タイムを記録することができたのはもちろんうれしいが、この後は厳しい週末が待っているので、それほど重要なことだとは思わない」
「明日以降は、昨年以上にチャレンジングなラリーになるだろう。いくつかのセクションは非常に難しく、そこをどう乗り切るかが勝負の鍵を握ると思うので、正しいリズムを見つけるのはきっと難しいと思う」
●エルフィン・エバンス デイ1総合4番手
「ナイロビでの最初のステージはとても素晴らしく、このイベントの始まりに相応しいものだった。クリーンに走ることができたが、この後は今日とはまったく違うチャレンジが我々を待っている」
「ステージのコンディションは全体的に昨年よりも荒れていて、軟らかい砂もかなり多くあるようだ。とにかく速く走らなければならないポイントもあれば、クルマを労って走る必要があるポイントもある。そのバランスを判断するのは難しいが、それを何とか見つけ出さなければならない」
●カッレ・ロバンペラ デイ1総合11番手
「多くの人から応援を受けてラリーをスタートすることができてうれしく思う。ステージの最初のコーナーでブレーキングが限界ギリギリとなってコーナリングラインが大きく膨らんでしまい、タイヤにダメージを負ってしまったのは残念だった。しかしまだ先は長いし、タイムもそれほど多く失わなかったので、あとは残りの週末に集中して取り組むのみだ」
「昨日のシェイクダウンではいくつかのことを試し、いい手応えを感じることができた。明日はスタート順が1番手なのでベストとは言えないが、どうなるか状況を見たいと思う」