チーム代表兼任は「お腹いっぱい」と小林可夢偉「達成感はない。いいレースを最後まで見せたかった」/ル・マン24時間

 6月11〜12日に行われた2022年WEC第3戦/第90回ル・マン24時間レースでは、トヨタGAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が優勝を飾り、トヨタのル・マン5連覇を決めた。

 もう1台の7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)も2位に入って、ワン・ツー・フィニッシュを達成。レースから4日後、今季よりドライバーとチーム代表職を兼ねる可夢偉は、平川とともに日本メディアのリモート取材に応じ、「チームとしては、同一周回のワン・ツーで終われたのはよかった」としながらも、7号車に途中発生したトラブルと“その影響”を悔やんだ。

■7号車のトラブル原因はECU

LMDhに関心を示すマクラーレン、WEC参戦は依然として検討段階「今年中に決断する必要がある」

 マクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEOは、同社が検討中のWEC世界耐久選手権への参戦について、2022年内に判断を下すと語った。

 現在、F1やインディカーシリーズ、エクストリームEを戦うマクラーレンは、LMDh(ル・マン・デイトナ・ハイブリッド)規則の発表当初からWECにも関心を示してきたが、いまだ正式な参戦発表はなされていない。

アルピーヌ、LMDhデビュー前の2023年はLMP2で活動へ。2台体制を計画/WEC

 アルピーヌのローラン・ロッシCEOは、2022年シーズンのWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに参戦しているアルピーヌが、来シーズンは2台のLMP2マシンで同シリーズに参戦する方向で調整していることを明らかにした。

 アルピーヌ・エルフ・チームは現在、旧規定のLMP1マシンを用いて、トヨタとグリッケンハウスのハイパーカーとともにWECハイパーカークラスに参戦している。しかし、同クラスは来シーズンからフェラーリのハイパーカーやLMDhカーの登場も予定されており、アルピーヌが“特別に”トップカテゴリーに居続けることは不可能になると考えられている。

スタートでの接触に異なる見解示すLMP2上位勢「ありえない動き」「1年分の努力が水の泡」/ル・マン24時間

 ユナイテッド・オートスポーツUSAとチームWRTは、2022年ル・マン24時間レースのスタート時に1コーナーで発生したアクシデントを、ともに悔やんでいる。

 予選でLMP2クラス2番手となったウィル・オーウェンがドライブするユナイテッド・オートスポーツUSA22号車オレカ07・ギブソンは、スタートで右側にいたクラスポールの31号車WRTのレネ・ラストと、左側に浮上してきていたリアルチーム・バイWRTの41号車のフェルディナンド・ハプスブルクに挟まれる形となり、コース左側のグラベルへと埋まった。

富士への来日危ういグリッケンハウス「我々は非常に小さな会社だ」。WECは「柔軟に対応」

 WEC世界耐久選手権は、ハイパーカークラスに参戦するグリッケンハウス・レーシングが2022年シーズン後半にレース欠場を余儀なくされる場合、「柔軟に」対応するという。

 FIA耐久委員会のリシャール・ミル委員長は、グリッケンハウスのル・マン・ハイパーカー(LMH)が将来的に世界選手権への参加を続けられるよう、譲歩する用意があると語った。

 これは、『フルシーズンエントリーするLMHチームは少なくとも1台の車両で全レースに出場しなければならない』とする、これまでのWECの厳格な規約を覆す対応だ。

トヨタ“優勝エンジニア”に移籍の噂/チェッカー提示場所変更の理由etc.【ル・マン決勝後Topics】

 6月11〜12日にフランス、ル・マンで行われたWEC世界耐久選手権2022年第3戦/第90回ル・マン24時間レースは、トヨタGAZOO Racingの5連覇により幕を閉じた。8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が、姉妹車7号車との争いを制して、好天に恵まれた24時間レースのトップチェッカーを受けた。

 レースから一夜明けた6月13日、16時10分に発行されたブルテンで、レース後の車検に全車が合格したことが明らかとなり、最終順位が確定。今年はレース後車検での混乱はなかった。

 そんなレース後のサルト・サーキットのパドックから、決勝レースの“裏側”、そしてレースウイークを通じた各種情報・噂をお届けする。

50歳ベン・キーティングの執念。3年越しのル・マン制覇で“幻の勝利”の正当性を主張

 2022年シーズンのWEC世界耐久選手権LMGTEアマクラスで33号車アストンマーティン・バンテージAMR(TFスポーツ)をドライブしてベン・キーティングは、レース後の技術的な違反により2019年に初優勝を逃した後、今年のル・マン24時間レースで優勝したことで「少し正当性を示すことができた」と感じていると語った。

 現在50歳のジェントルマンドライバーは、エンリケ・チャベスとアストンマーティン・ワークスドライバーのマルコ・ソーレンセンとともに33号車アストンマーティンのステアリングを握り、TFスポーツが過去3年間で2回目のGTEアマクラス優勝を果たすのに貢献した。

【動画】2022年WEC第3戦ル・マン24時間 決勝ハイライト

 6月11~12日にかけて、“世界三大レース”のひとつであるル・マン24時間レースの決勝レースが行われ、平川亮も乗り込んだTOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド(平川/セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー組)が優勝。今季からチーム代表も兼任する小林可夢偉組の7号車トヨタGR010ハイブリッドが総合2位となり、トヨタが過去5年で4度目のワン・ツー・フィニッシュを達成した。そんな第90回大会の決勝の模様を収めたレースハイライト動画が、ル・マン24時間の公式YouTubeチャンネル、およびハイパーカーとLMGTEプロ/GTEアマの計3クラスにタイヤを供給しているミシュランの公式チャンネルで公開されている。

ル・マン5連覇達成も、クルマづくりが至らず「ドライバーたちに申し訳ない気持ちになった」と豊田章男社長

 6月11日から12日にかけて、フランスのル・マンで開催された第90回ル・マン24時間レース。平川亮とセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーがドライブする8号車トヨタGR010ハイブリッドがポール・トゥ・ウインを達成し、トヨタの大会5連覇で幕を閉じたこのレースの翌日、トヨタ自動車社長でTOYOTA GAZOO Racingのチームオーナーでもある豊田章男氏がコメントを発表した。

 ル・マン5連覇を目指し2022年も『トヨタGR010ハイブリッド』の2台体制でWEC世界耐久選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing。ル・マンの前哨戦である第2戦スパ・フランコルシャンを制して乗り込んだフランス伝統の耐久レースでは、予選ハイパーポールで8号車がポールポジションを獲得し、マイク・コンウェイとホセ-マリア・ロペス、今年からチーム代表を兼務する小林可夢偉の3名が乗り込む7号車が2番手につけた。

僅差の戦いが続いたトヨタ。7号車のトラブルまで「互いに必死でプッシュ」/ル・マン24時間

 2022年のル・マン24時間レースを制したTOYOTA GAZOO Racingのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、同レースでトップ争いを演じた2台のトヨタGR010ハイブリッドのバトルは「非常にタイト」であり、小林可夢偉組の7号車にトラブルが発生し勝負を決定づけるまで、互いが優位に立とうと「必死でプッシュしていた」と語った。

 同氏はトヨタがル・マン5連覇を達成した後、2台のトヨタGR010ハイブリッドの戦いは、電気モーターに関連するトラブルで7号車が姉妹車の8号車から数分の差をつけられてしまうまで、激しく互角の戦いをしていたと述べた。