6月24日、ポルシェは2023年より投入する新型スポーツプロトタイプ『ポルシェ963』の正式車両名、カラーリング、エンジン詳細などを明らかにしたが、合わせてファクトリーチームのドライバーの一部ラインアップと、2022年内のレースへの参戦計画を明らかにしている。
来季よりIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権における最上位クラス『GTP』において適格となる新規定『LMDh』車両は、WEC世界耐久選手権のトップカテゴリーである『ハイパーカークラス』にも参戦可能となる。
ポルシェはペンスキーと組み、『ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ』としてWEC、IMSAの両シリーズにそれぞれ2台の963を送り込むが、ポルシェからそのドライバーラインアップの一部が明らかにされた。
ポルシェのワークスドライバーから、ケビン・エストーレ、ミカエル・クリステンセン、マット・キャンベル、マシュー・ジャミネ、ローレンス・ファントールという、近年ポルシェ911 RSR-19/GT3 Rでレースをしてきた面々に加え、かつてアウディで3度のル・マン総合優勝を達成しているアンドレ・ロッテラーが選出された。ロッテラーは現在、ポルシェからフォーミュラE世界選手権に参戦している。
このほか、すでにファクトリードライバーとしてスポーツカーのステアリングを握っているデイン・キャメロン、フェリペ・ナッセの名も発表されている。
また、開発ドライバーとしてフレデリック・マコウィッキの名前が挙げられており、「1月のバイザッハでのロールアウトでポルシェ963のステアリングを握り、シミュレーターでも最初のラップを刻むなど、キーとなる役割を果たした」としている。
デイトナ24時間、セブリング12時間、ロード・アトランタ(プチ・ル・マン10時間)などの耐久レースにおけるその他のドライバーについては、後日発表するとしている。
■2022年11月のバーレーンで“トヨタとの対決”実現か
ポルシェはまた、これら車両や参戦体制の詳細を明らかにすると同時に、2022年11月にバーレーンで開催されるWEC最終戦バーレーン8時間レースにおいて、レースコンディションでのテストを行うことを「目標」に掲げている、と明らかにした。
これは3月にFIAが発表した承認に基づくもので、ポイント獲得資格のない招待制のエントリーとして扱われることになる。
この先、ポルシェがさらなるパフォーマンス・テストを重ねていくことを考慮すると、バーレーンは2022年内にポルシェが963をデビューさせることのできる唯一のレースとなる。
また、今季のWECにおいて非競争的なレースデビューを果たすことにより、シリーズをオーガナイズするACOフランス西部自動車クラブとFIAは、トヨタ、グリッケンハウスといったすでにレースをしているル・マン・ハイパーカーと、新たなLMDh車両との性能バランスを調整するための貴重なデータを収集できることになる。
その後、2023年1月のIMSA開幕戦となるデイトナ24時間レースでの公式レースデビューに間に合うよう、車両ホモロゲーションを取得するという流れになる。
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージンング・ディレクターであるジョナサン・ディウグイドは、「期待は非常に大きい」と述べている。
「世の中からの期待だけでなく、過去にモータースポーツの偉大なチャプターをともに刻んできたポルシェおよびチーム・ペンスキーからの期待も大きいのだ」