“AoP”導入で次世代LMP2は「すべてのブランドが勝てるように」とACO。席巻中のオレカも反対はせず

 ACOフランス西部自動車クラブ会長のピエール・フィヨンによると、2025年から次世代のLMP2マシンを管理するために使用される“アジャストメント・オブ・パフォーマンス(AoP)”のプロセスは、すべてのコンストラクターに「同じ勝利のチャンス」を与えるように設計されているという。

 ACOとFIAは現在市場を席巻しているオレカに加え、リジェ、ダラーラ、マルチマチックの各LMP2モデルのパフォーマンスをモニターするため、次世代のLMP2レギュレーションでは最大で年2回のAoP変更を実施すると、2022年のル・マンで発表した。

ポルシェ、プジョー、BMWにフェラーリ……マシンも続々と公開。大盛況の『ハイパーカー』『LMDh』参入状況まとめ

 6月24日にはポルシェが新型LMDh車両『ポルシェ963』を正式発表。来る7月10日には新型LMH(ル・マン・ハイパーカー)『プジョー9X8』がいよいよレースデビューを飾る。

 さらに6月のル・マン・ウイークには、BMWやアキュラ、キャデラックが続々と新型プロトタイプ車両に関連した発表を行うなど、ここへ来て未来に向けた動きが一気に加速しているスポーツカー界。この記事では、LMH/LMDh車両を開発しているメーカー、その参戦カテゴリー、判明している体制など、2022年6月末時点での情報をまとめる。

 その前に、まずは現在〜未来の、スポーツプロトタイプのトップカテゴリーの規則について、簡単におさらいしておこう。

3年ぶりカナダ戦の懸念事項が現実に。ワクチン未接種を理由にGTD有力チームが欠場/IMSA

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTDクラスでポルシェ911 GT3 Rを走らせているライト・モータースポーツは、7月1~3日にカナディアンタイヤ・モータースポーツ・パークで開催される『シボレー・グランプリ』を欠場するチームのひとつとなった。

 アメリカ・オハイオ州に本拠このチームは、カナダのワクチン政策により、2022年シーズン第8戦として行われるアメリカ国外ラウンドにおいて、16号車ポルシェのエントリーを見送ることを発表している。

WTRがMSRアキュラを退け3勝目。赤旗を挟んだグレン6時間の終盤スプリントを制す/IMSA第7戦

 6月25日、アメリカ・ニューヨーク州のワトキンス・グレン・インターナショナルでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第7戦『サーレン・ザ・グレン6時間』の決勝レースが行われ、ウェイン・テイラー・レーシングが運営するコニカミノルタ・アキュラARX-05の10号車アキュラ(フィリペ・アルバカーキ/リッキー・テイラー組)が優勝。今季3勝目をマークした。小林可夢偉も乗り込んだ48号車キャデラックDPi-V.R(アリー・キャデラック)は総合6位フィニッシュとなっている。

 DPiからGTDまで、全5クラス合計48台がグリッドに並んだ今季第7戦のザ・グレン。ミシュラン・エンデュランスカップ(IMEC)の一戦として、6時間で争われる決勝レースは、序盤の荒れた展開から終盤に出された赤旗による長い中断を挟み、最後は約20分間のスプリントレースを経ての決着となった。

D’station Racing、ル・マン・バーチャルシリーズに向け参戦ドライバーをオンラインで選考へ

 6月27日、WEC世界耐久選手権やスーパー耐久など国内外で幅広く活動するD’station Racingは、ACOフランス西部自動車クラブやWECが監修して運営される2022/23 ル・マン・バーチャルシリーズ参戦へ向け、年間エントリーするドライバーを広くオンライン選考すると発表した。

WEC第4戦モンツァのエントリーリスト発表。2台のプジョー9X8が新規参戦、計38台の争いに

 7月10日に決勝レースが開催されるWEC世界耐久選手権第4戦『モンツァ6時間レース』のエントリーリストが発表された。プジョーの新型ル・マン・ハイパーカー『プジョー9X8』が新たに参戦を開始するこのイベントには、4クラス計38台の車両がエントリーしている。

ポルシェ963、カスタマー車両は2023年開幕に間に合わない可能性。1台のコストは“約4億円”と判明

 ポルシェ・モータースポーツ・ノースアメリカ社長兼CEOのフォルカー・ホルツマイヤーは、JDCミラー・モータースポーツのポルシェ963のデビューレースについて「疑問符がつく」としており、カスタマーカーはシリーズ開幕戦に間に合わず、2023年シーズン途中に準備が整ってから展開される可能性が浮上している。

6年ぶりのル・マン参戦を果たしたDTM王者レネ・ラスト「今後はアウディの決断を待っている」

 6月11日〜12日に決勝レースが開催されたWEC世界耐久選手権第3戦、第90回ル・マン24時間耐久レース。WRTからLMP2クラスに参戦したアウディワークスドライバーのレネ・ラストは6年ぶりのル・マン参戦を果たしたが、ル・マン24時間の会場でひさびさのル・マン、そして将来のビジョンについて聞いた。

ポルシェ963のカスタマーチームが相次ぎ発表。WECではJOTAがステップアップ、IMSAではキャデラックから“鞍替え”

 6月24日に正式発表されたポルシェの新型LMDh車両『963』。2023シーズンは既報のとおり、ファクトリーチームの“ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ”がWEC世界耐久選手権に2台、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に2台をエントリーさせるが、この4台の他に963を走らせるカスタマーチームが、相次いで発表されている。

ポルシェのLMDh車両『963』の名称にファン歓喜。スポーツカー史上に残る名車『962/962C』とは

 6月24日、ポルシェは2023年のWEC世界耐久選手権/IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に投入する予定のLMDh車両について、そのカラーリングと体制、そして車名を発表した。その名も『963』と名付けられた車名には、世界中のスポーツカーファンから歓喜の声がSNS上にあふれている。伝説的モデルの「レガシーを引き継ぐ存在」として名付けられた車名だが、1980年代から90年代まで世界中のスポーツカーレースを牽引した『962/962C』を引き継ぐ番号だからに他ならない。登場から40年が経ち、いまや962/962Cの活躍をご存じないファンも多いはず。簡単ではあるが、おさらいしておこう。