BMW、LMDh車両『M ハイブリッドV8』のエンジン画像を公開。共通MGUにはポルシェ同様トラブルも

 7月14日、BMWは2023年にデビュー予定の新型LMDh車両『BMW M ハイブリッドV8』に搭載されるエンジン『P66/3』の画像を公開、合わせて開発状況を明らかにした。

 6月6日にその外観などが正式発表されているBMW M ハイブリッドV8は7月末にヨーロッパで走行テストを開始し、その後アメリカに移ってデビュー戦となるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦のデイトナ24時間に向けて準備を重ねることになる。

■クラス1エンジンの流用は“耐久性”で断念

ポルシェとキャデラックが参加予定。LMDh初のグループテスト、セブリングで実施へ

 アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイにおいて今週、2メーカーのLMDhマシンが同トラックでグループテストを実施し、プロトタイプスポーツカーの新たな歴史が作られようとしている。

 2023年のWEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の両方にデビューする、ポルシェ963とキャデラック・プロジェクトGTPハイパーカーは、歴史的なフロリダのサーキットで数日間にわたって行われるグループテストに参加する予定だ。これはドイツのメーカーにとってLMDhカーで初めてアメリカの地を踏み、キャデラックにとってはダラーラ製の新型車で重要なマイレージを重ねることを意味する。

キャデラックが新型LMDh車両をシェイクダウン、実車写真を初公開。アキュラ、BMWも7月中に走行へ

 2023年にWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスと、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスにデビューを予定しているキャデラックの新型LMDh車両が、シェイクダウンを完了。実車の走行写真が、初めて公開された。

アリー・キャデラックはデイトナ不参加が濃厚。AXRのワークス昇格により小林可夢偉らの起用も困難に

 アクション・エクスプレス・レーシング(AXR)のチームマネージャーであるゲイリー・ネルソンは、同チームが来年1月のロレックス・デイトナ24時間にキャデラックの新型LMDhを2台投入する可能性は低いと語った。  2021 …

ポルシェ963のカスタマー“拡大枠”入りを狙うパフ・モータースポーツ「ハイブリッドのコストに不安」/IMSA

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTDプロクラスで、ポルシェ911 GT3 Rを走らせているパフ・モータースポーツは、ポルシェが開発中のLMDh車両『963』を用いた将来のGTPクラスでのプログラムが「レー …

【動画】アキュラの新型LMDh『ARX-06』に火が入る。ハイブリッド・パワートレイン初始動

 6月30日、ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)は、2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPクラスでデビューするLMDhマシン『アキュラARX-06』の火入れ式を実施したことを明らかにし、その様子を公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/c/HondaRacingHPD)で公開している。

 アキュラARX-06は、現在IMSAシリーズのDPiクラスを戦っているアキュラARX-05の後継モデルにあたるプロトタイプ・レーシングカーだ。6月3日にティザー画像が公開された同マシンは、オレカの次世代LMP2シャシーをベースにHPDが開発を担当。車両デザインはロサンゼルスのアキュラ・デザインスタジオを中心としたチームが担当している。

ハイブリッド化とLMHの参加で複雑化するBoP。IMSAが取り組むプロセスの活性化と新ツールの導入

 IMSAのテクニカルディレクターを務めるマット・クルドックは、ウェザーテック・スポーツカー選手権を運営する同団体が、LMHル・マン・ハイパーカーとLMDhプラットフォームのクルマを近いレベルで戦わせるために、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)プロセスの活性化と新しいツールの導入に取り組んでいると語った。

 今季限りで終了するDPiクラス入れ替わるかたちで、2023年に新設されるウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスは、LMDhと2021年からWEC世界耐久選手権のトップカテゴリーで採用されているLMHの両方の規定にオープンであるが、最初のシーズンはLMDhのルールに沿って制作された車両のみが登場する予定であり、現在までにアキュラ、BMW、キャデラック、ポルシェが新型マシンでの参戦を表明している。

ポルシェ、プジョー、BMWにフェラーリ……マシンも続々と公開。大盛況の『ハイパーカー』『LMDh』参入状況まとめ

 6月24日にはポルシェが新型LMDh車両『ポルシェ963』を正式発表。来る7月10日には新型LMH(ル・マン・ハイパーカー)『プジョー9X8』がいよいよレースデビューを飾る。

 さらに6月のル・マン・ウイークには、BMWやアキュラ、キャデラックが続々と新型プロトタイプ車両に関連した発表を行うなど、ここへ来て未来に向けた動きが一気に加速しているスポーツカー界。この記事では、LMH/LMDh車両を開発しているメーカー、その参戦カテゴリー、判明している体制など、2022年6月末時点での情報をまとめる。

 その前に、まずは現在〜未来の、スポーツプロトタイプのトップカテゴリーの規則について、簡単におさらいしておこう。

ポルシェ963のカスタマーチームが相次ぎ発表。WECではJOTAがステップアップ、IMSAではキャデラックから“鞍替え”

 6月24日に正式発表されたポルシェの新型LMDh車両『963』。2023シーズンは既報のとおり、ファクトリーチームの“ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ”がWEC世界耐久選手権に2台、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に2台をエントリーさせるが、この4台の他に963を走らせるカスタマーチームが、相次いで発表されている。

ペンスキー、来季ル・マンでの4台体制に否定的「ポルシェLMDh初年度に負荷をかけ過ぎない」

 ロジャー・ペンスキーは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが2023年のル・マン24時間レースに4台のLMDhマシンを持ち込む可能性は低いと考えており、その理由にプログラムの初年度に、チームが“オーバーロード(負荷のかけすぎ)”にならないようにする必要があることを挙げた。

 既報のとおり、ポルシェとチーム・ペンスキーはWEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの両方でLMDhに取り組み、トップレベルのプロトタイプレースへの復帰を果たす予定だ。